結婚式の花材選びで差をつけるポイント

はじめに
結婚式は人生の節目として、多くの人にとって特別な意味を持つセレモニーです。その中でも、花材の選び方は式全体の印象や雰囲気を左右する重要な要素です。ただ「季節の花を使う」だけではなく、新郎新婦の個性や式のコンセプトに合った花材を提案できるかどうかが、花屋の腕の見せどころといえるでしょう。
本記事では、結婚式場やウェディング業界に携わる花屋、またこれからその分野に参入したいと考える花屋に向けて、ワンランク上の提案力を身につけるための「花材選びのポイント」を詳しく解説します。
花装飾の知識としては、「結婚式での花飾り基本ガイド」も参考になります。
花材選びの基本視点
季節感と入手性の両立
季節の花を取り入れることは、自然な美しさと予算的な合理性を生む基本の視点です。しかし、「その季節のどの段階にあるか(前期・中期・後期)」「市場での流通量」「品質の安定性」も考慮すべき要素です。
たとえば、春の桜は人気があるものの、咲き具合や落花のタイミングが読みづらいため、使用場所を選ぶ必要があります。そのため、確実に調達できる花材をいくつか候補として用意しておくと安心です。
コンセプトに合う色と形
「ボタニカル」「ナチュラル」「クラシック」「モダン」など、式のテーマやドレス、招待状などとの統一感を意識した花材選びは、全体の仕上がりをワンランク引き上げます。
例:
- ナチュラル系→ワイルドフラワー、ユーカリ、カスミソウ
- モダン系→アンスリウム、カラー、胡蝶蘭(単色でまとめる)
ドレスがボリュームタイプなら丸みのあるブーケ、スレンダーなら縦長のクラッチブーケが映えるように、形の選定も重要です。
花言葉とストーリー性
最近では花言葉を重視した演出や、ふたりの出会い・エピソードにちなんだ花材を選ぶ傾向もあります。「母の好きなカーネーションを取り入れる」「出会いの季節に咲いていたミモザを使う」など、物語性が加わると、花に込められた意味がゲストにも伝わります。
会場ごとのおすすめ花材と注意点
屋外ガーデンウェディング
- おすすめ:野草風の草花(アストランティア、スカビオサ、スモークツリーなど)
- 注意点:日差しや風の影響を受けやすいため、保水力の高い花材を選び、設置後の管理にも注意が必要。
ホテル・式場のバンケット
- おすすめ:存在感のある大輪(ダリア、芍薬、バラなど)や品種改良されたユリ系
- 注意点:照明が強い場合、白系の花が飛んで見えるため、淡いピンクやグリーンを差すと立体感が出る。
神前式・和婚スタイル
- おすすめ:胡蝶蘭、ピンポンマム、椿、水引を添えた和装ブーケ
- 注意点:季節感の演出に菊を使う場合、葬儀の印象を避けるため色味や形状の工夫を。
花屋としての提案力を高めるには
トレンド情報を定期的にキャッチアップ
ウェディング業界は流行のサイクルが早く、SNSやドレスデザインの変化が装花にも影響します。InstagramやPinterestで海外の最新事例をチェックしたり、ドレスショップやブライダルフェアの情報を収集するのも重要です。
資材や副資材との組み合わせ提案
リボン、ガラス花器、陶器、ウッド調のスタンドなど、花材だけでなく“飾る器”との相性まで考えて提案できると、式場やプランナーからの信頼が高まります。
依頼がないときこそ提案のチャンス
特に結婚祝いの花束やフォトブースの装飾など、式場以外での装花でも、「こういう演出もできますよ」と提案する姿勢が、リピーターや紹介につながるケースが多く見られます。
まとめ
花材選びは、「美しいから選ぶ」のではなく、「どう見せるか」「どんな意味を持たせるか」まで踏み込むことで、花屋としての提案の深さが際立ちます。
結婚式という人生最大の晴れ舞台を支える存在として、ふたりの物語や式のテーマを形にする「翻訳者」としての感性を大切にしながら、現場での対応力やトレンド感も備えていきましょう。
花材に差をつけることは、信頼につながる最大の武器です。
よくある質問(Q&A)
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季節外の花を希望された場合、どう対応すればよいですか?
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完全に不可能な場合は代替花を提案しつつ、「似た雰囲気の仕上がりにできる」旨を画像などで伝えると納得してもらいやすくなります。どうしても必要な場合は輸入花材の活用も検討しましょう。
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花材の提案に自信がありません。どう勉強すればいいですか?
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実際のブライダル装花事例をSNSや式場サイトで定期的に観察し、自分なりの解釈を加える練習が効果的です。また、業界誌や市場の花材情報を通じて知識の幅を広げましょう。
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新郎新婦から「おまかせで」と言われた場合、どう進めればいいですか?
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好きな色や式のテーマ、ドレスの写真、招待状などからイメージを膨らませ、数パターンのイメージ画像と見積もりを提示することで、信頼感のある提案につながります。