イベント業界における花屋ビジネスの需要動向【2025年版市場トレンド解説】

はじめに

イベント業界の復活とともに、装花を担う花屋ビジネスが新たなフェーズを迎えています。従来のスポット納品にとどまらず、演出やサブスクリプション提供、SNS連携など、多様な進化を遂げる中、今あらためて“花屋の価値”が問われています。

本記事では、筆者が実際に取材した関係者の声、公的機関のデータ、そして市場全体の動向から、花屋ビジネスがイベント業界で果たす役割と将来性を明らかにします。

花き市場の回復とビジネスモデルの転換

公益社団法人 日本イベント産業振興協会(JACE)の「2023年イベント産業規模推計(2024年6月発表)」によれば:

  • イベント関連産業は9,142億円(前年比135.3%)
  • イベント周辺産業を含めた総規模は2兆6,337億円(前年比126.6%)
  • 特に周辺産業を含むトータルでは、2019年比100.8%とコロナ前水準へほぼ完全回復しています。

出典:
JACE(2023年イベント産業規模推計)PDF1
JACE(補足資料PDF)

農林水産省が公開する「花きの現状について(2025年修正版)」では、次のように述べられています:

「日常生活における花きの活用の促進、公共施設やまちづくりにおける花きの活用」

また、同資料では「イベント等での花きの活用」が重要視され、花を通じた体験創出や癒しの提供が推進されています。

出典:農林水産省「花きの現状について」

こうした市場の変化に伴い、花屋は単なる納品業者から空間演出パートナーへと役割を拡張。サブスクリプションモデル、テンプレート提案、デジタル活用など新しい取り組みが進んでいます。

多様化するイベントと花の役割

現代のイベントは、企業の周年記念、観光誘致、地域フェス、国際展示会まで多岐にわたり、装花には「印象に残る演出」「写真映え」「ストーリー性」が求められるようになりました。

花はその感情的訴求力により、空間の印象を変える力を持っています。筆者が取材したイベント装飾業者によれば、

「来場者が花装飾を背景に撮影し、それをSNSで拡散してくれる。結果として広告効果にもつながっている」とのことでした。

InstagramやTikTokなどで「#flowerart」「#flowerwall」などが活発に使われている背景には、この“体験型演出”の効果があります。

体験談①:ブライダル会場での装花サブスク導入【筆者取材】

都内の結婚式場装飾担当者は、筆者のインタビューにこう語りました。

「従来のオーダーメイド装花から、季節ごとの3パターン提案に切り替え、定額制にしました。結果、業務効率が30%改善し、売上も約1.5倍に。新郎新婦にも“選びやすい”と好評です。」

このように、テンプレートと定額モデルを組み合わせることで、顧客満足と業務効率が両立できる事例です。

体験談②:音楽フェスにおける“フラワーアーチ”の影響力【筆者取材】

地方で開催された音楽フェスの主催者はこう語ります。

「花屋と協業して作った“フラワーアーチ”が来場者のフォトスポットとして大好評。投稿されたSNS写真は2,000件以上に及び、イベント名がトレンド入り。翌年の来場者数は前年比128%に増えました。」

これは、装花が集客・認知拡大の起爆剤になる好例です。

公的機関と専門家の見解

農林水産省は、花の利用拡大に向けて以下のように述べています:

「花は癒しと共感を生む生活文化の一部であり、定期購入や体験を通じて若年層への普及が重要である」
出典:花き産業ビジョン(農林水産省)

さらに、筆者が取材した花業界関係者は、

「花屋は納品業者から“演出家”へと立場を変える必要がある。イベントの世界観を花で翻訳する役割を担うことが重要」と話しています。

成功の鍵と提案

  • サブスク型モデル導入:定額制で法人契約を増やす
  • SNS映え演出:写真投稿による拡散を狙う装飾設計
  • ストーリーある装花:贈る意図や背景を含めた提案が信頼につながる
  • 業務支援ソフト導入「筆耕システムいちばん」のようなソフトで提案書・装飾テンプレートを簡単作成
    (参考:https://www.soa-co.com

まとめ

イベント業界の再活性化により、花屋ビジネスは次の成長ステージを迎えています。

✔ 単発受注ではなく継続的な法人契約
✔ SNS時代に適応した演出力
✔ サブスクや提案営業による高付加価値化
✔ 「体験」と「記憶」に残る装花づくり

このような戦略を備えた花屋こそ、これからのイベントビジネスで“選ばれる存在”となるでしょう。


よくある質問(Q&A)

装花のテンプレート化って本当に効果ありますか?

はい。実際に月商が1.5倍になった事例があり、効率化と顧客満足の両立に寄与します(筆者取材)。

小規模花屋でも法人契約は可能?

可能です。まずは地域の結婚式場・セレモニー施設・イベント主催者と信頼関係を築くことから始めましょう。
👉 具体的な営業アプローチ方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
地方の花屋がセレモニーホールに営業をかける方法

SNS映えの装花ってどう作れば?

色彩バランス・高さ・撮影角度を意識し、会場の導線や背景を計算したフォトスポットを提案すると効果的です。